生成AIとは?仕組みやできること、活用事例をわかりやすく解説
 
		対話型AIのChatGPTをはじめとする「生成AI(または生成系AI、ジェネレーティブAI)」は、その登場から現在まで飛躍的な発展を遂げていますね。
今や日常生活だけでなく、教育分野、ビジネスシーン、映画・音楽といったエンターテイメント分野など、幅広い業界で活用されています。
次々と新しいサービスが登場する中で、最適なものを選んで実際に役立てるためには「どんなシーンでどの生成AIを選ぶのか」ということが重要です。
そして、最適な生成AIを選択するためには、生成AIの基礎知識も欠かせません。
この記事では、生成AIとは何なのか、その種類や使い方、できること・できないことなどについて分かりやすく解説します。
生成AIについて理解し、日常だけでなくビジネスや業務に活用するために、ぜひ最後まで読んでくださいね!
生成AIとは?
生成AIとは、「ジェネレーティブAI(Generative AI)」とも呼ばれるAI(人工知能)の一種です。
AIを用いてクリエイティブな成果物を生み出すことができるのが特徴で、生成できるものは楽曲や画像、動画、プログラムのコード、文章など多岐にわたります。
生成AIは、AIが自ら答えを探して学習する「ディープラーニング(深層学習)」を用いて構築された機械学習モデルであり、AIの中では比較的新しく生まれたモデルです。
「AIが人間のようにクリエイティブな成果物を生み出せる」点が従来のAIとは大きく異なっています。
生成AIは、人間の仕事や作業をサポートするツールとしてだけでなく、それ自体が収益を生むツールとしても期待されています。
従来のAIとの違い・定義
一般的に「AI」というと、識別系AI(Discriminative AI)を指すことが多いですよね。
これは与えられたデータに対して正解か不正解かを識別するタイプのAIで、生成系AIとは根本的な仕組みが違います。
事前に大量のデータで学習している識別系AIは、文字認識やOCR、AIカメラなどで見られるように、製品の品質チェックや画像認識などの分野で広く活用されています。
AIの定義が大きく変わるきっかけとなったのは、2022年11月に登場した「ChatGPT」ではないでしょうか。
その少し前にリリースされていた画像生成AIの「Midjourney」なども、生成系AIへの関心が高まるきっかけとなりました。
生成系AIは、データから新しいコンテンツを生み出す能力があり、これまでの識別系AIとは異なるアプローチを取ることが認識され、近年はAIの定義が識別系から生成系へと広がりつつあります。
実は「弱い」生成AI
生成AIは、テキスト生成や画像生成など特定のタスクにおいて非常に高い精度を発揮しますが、その本質は「弱いAI」であると言えます。
弱いAIとは、特定の目的や分野に特化したAIであり、人間のように多くの領域にわたり自律的な判断や行動を行う「強いAI(汎用AI)」とは異なります。
生成AIは膨大なデータを基にパターンを学習し、それを応用してアウトプットを生成しますが、その背後には深い理解や意識は存在しません。
例えば、生成AIが詩や文章を創作できるのは、大量の既存データをもとに統計的な推測を行っているからに過ぎず、人間のクリエイティブな思考を模倣しているように見えているだけで、実際には既存データの再構成です。
さらに、予期しない状況や曖昧な指示に対する対応力も限定的で、知的な柔軟性を備えているとは言えません。
生成AIはあくまで人間の補助ツールとして役立つ存在であり、「強いAI」のような自律性や万能性を持つわけではないことを理解しておきましょう。
生成AIに過剰な期待を抱くことなく、その特化性を理解した上で活用することが重要です。
生成AIの種類
生成AIの種類にはいくつかの種類があり、用途に応じて使い分けることで限りなく思い通りに近い成果物を生み出すことができます。
近年、特に注目されているのは画像生成や動画生成などの生成AIですが、テキスト生成や音声生成の生成AIも技術が発展しつつあります。
ここでは、以下の4つの生成AIについて詳しく見ていきましょう。
- テキスト生成AI
- 画像生成AI
- 動画生成AI
- 音声生成AI
テキスト生成
「テキスト生成AI」は、ユーザーがテキストボックスにプロンプト(prompt、指示文)を入力し、AIが質問の内容を解析して、回答となるテキストを生成するシステムです。
使用されている言語モデルによっても精度は異なりますが、近年注目を集めている「ChatGPT」などでは、まるで人間のような高精度な回答が可能になっています。
テキスト生成AIは、例えばプログラミングでエラーが表示されたコードをそのままAIに入力して、エラー箇所を指摘してもらうといった使い方も可能です。
ただし、Web上の情報を学習しているため必ずしも正しい回答が返ってくるとは限りません。
テキスト生成AIのハルシネーションはたびたび問題になっていますので、回答を鵜吞みにせず、ダブルチェックを行うなど正誤判断をしながら活用してください。
画像生成
「画像生成AI」は、ユーザーが入力したプロンプト内容に応じてAIがオリジナル画像を生成するシステムです。
わずか数秒~数十秒程度で全く新しい画像を生成できるため、デザイン業界をはじめとした様々なクリエイティブ業界において、業務のサポートや新たなアイデアの創出などの幅広い活用が期待されています。
画像生成AIの中でも特に有名なサービスには、「Stable Diffusion」や「Midjourney」などがあります。
動画生成
画像生成AIの発展形として、動画生成AIも注目されています。
動画生成AIには、テキストから動画を生成できるものや、画像・動画から動画を生成できるものなど、様々なツールが登場しています。
一度に生成できる動画の時間はまだ数秒~数分と短いことがネックですが、各社が長い尺の動画を生成できるよう研究を進めており、さらなる進化が期待されています。
音声生成
「音声生成AI」は、音声データを入力することによってその音声の特徴を学習し、新しい音声データを生成するシステムです。
現在では、音声データは必要なく、テキスト入力のみで音声を生成することができるツールもあります。
音声生成AIのすごいところは、学習済みの声色を再現したテキスト読み上げモデルが完成するだけでなく、感情に合わせた表現も可能になる点です。
このような技術を活用することで、特定の人間の声を使ったナレーションを自動的に生成して、素材として利用するなどのオペレーションを実現できます。
生成AIの仕組み・用いられる生成モデル
生成AIがコンテンツを生み出すために用いられている生成モデルは、AIの性質に応じていくつかの異なるモデルが使われています。
ここでは、一般的に生成AIに用いられている4つの深層学習モデルをご紹介します。
- VAE
- GAN
- 拡散モデル
- GPT
VAE

VAEとは、「変分オートエンコーダ」と呼ばれる、ディープラーニングを活用した画像生成モデルです。
AIの学習用データから特徴を学び取り、そのデータの特徴をもとに「学習用データと似ている新しいコンテンツ」を生成することができます。
例えば、イラストレーターや画家の作品を学ばせて、作家の特徴を持った新しいイラストを生み出すことなどが可能です。
また、VAEは複雑かつ緻密な画像の特徴を捉えることにも適しているため、構造が複雑な工業製品の異常検知などにも利用されています。
GAN

GAN(Generative Adversarial Networks)も、VAEと同じく画像生成モデルの一種です。
VAEの仕組みとは異なり、「generator」と「discriminator」という2つのネットワーク構造を利用して新たな画像を生成します。
- generator=ランダムに作成されたデータ
- discriminator=学習用の正しいデータ
generatorとdiscriminatorを競わせながら学習することで、精度の高い画像を生成できます。
GANを利用すると、解像度の低い画像から高解像度の画像を生成したり、テキストから全く新しい画像を生成したりすることが可能です。
拡散モデル

拡散モデルは、画像生成AIの「Stable Diffusion」や「DALL-E3」などに採用されている画像生成モデルです。
拡散モデルでは、学習用の画像にノイズを追加した上で、その画像からノイズを除去していき元画像を復元します。
「与えた画像にノイズを付加し、元の画像を復元する」プロセスを繰り返すことで、画像生成を行う仕組みをAIに学習させます。
拡散モデルは、いわばGANの発展形ともいえるモデルで、GANよりもさらに高解像度な画像を生成することが可能になります。
GPT

GPTは、OpenAIが開発した言語モデルの一種です。
AIが約45TBもの膨大なテキストデータを学習することで、ある単語の次に記述される別の単語の候補を高精度で予測できるようになり、人間が作成したかのような違和感のない文章を生成できるのが特徴です。
最新のGPT-4oでは、パラメータ数が大幅に増加し、出力の精度・スピードも大きく向上しました。
さらに、マルチモーダルAIとしてテキスト・画像・動画・音声など複数のデータを同時に認識できます。
生成AIにできること・メリット
生成AIは、今では様々なことができるようになっています。
生成AI単体の能力(画像生成や動画生成、テキスト生成など)はすでにご紹介したので、ここではビジネスシーンにおいて生成AIができる4つのことと、そのメリットについてご紹介しましょう。
定型業務の効率化
生成AIを活用すると、定型業務の効率化が期待できます。
ここまでご紹介したように、現在ではさまざまな種類の生成AIがありますよね。
例として「文字起こし生成AI」を活用したときの業務効率化について考えてみましょう。
文字起こし生成AIは、入力された音声をAIが自動的に認識して、音声の内容をテキスト化することができるAIです。
ビジネスシーンでは、会議の録音データをテキスト化して議事録として保存したり、コールセンターの応対を録音したデータを文字起こししてシステムに登録したりといった使い方が可能です。
人間が手動で議事録を作成したり、録音データを聞き返したりする必要がなく、大幅な業務効率化につながります。
クリエイティブな提案の補助
クリエイティブな提案の補助にも、生成AIは役立ちます。
例えば、ある小説家が新しい作品を執筆しようとしているとしましょう。
しかし、主人公に関するぼんやりとしたイメージは浮かんでいるものの、細部を詰めるための良いアイデアが見つからずに悩んでいました。
このような場面において、頭の中で考えているいくつかの情報をテキスト生成AIに与えて、作品のアイデアをもらうような使い方が可能です。
例えば、「30代前半の男性が主人公の小説を書こうとしています。特徴的な口癖や個性を持つキャラクターにしたい。良いアイデアを提案して」といったプロンプトを与えることで、AIがいくつかのアイデアを提案してくれます。
コンテンツのゼロコスト作成
生成AIを活用することで、内製や外注で対応していたコンテンツ作成を生成AIに代替させ、ゼロコストで作成することが可能です。
例えば、自社のマーケティング活動の一環として製品紹介動画を制作している場合、外注していた動画内に使用するイラストを画像生成AIで作成すれば、外注コストを丸ごと削減できます。
また、動画内に使用する楽曲を社内外で制作している場合、音楽生成AIでBGMを生成すれば、人件費・リソース・コストの削減が可能です。
これまでは「コンテンツを作成するための人材」が少なからず求められていましたが、将来的にはコンテンツ作成の大部分を生成AIが担うようになると考えられます。
顧客との関係強化
一見関係ないように見えて、実は生成AIは顧客との関係強化にも役立ちます。
顧客の購買履歴や好みなどのデータ分析を生成AIにより効率化すれば、パーソナライズしたコンテンツや製品の提供が可能となり、リピート率の向上や長期的なロイヤリティの獲得につながります。
カスタマーサポートでの顧客対応に生成AI搭載チャットボットを導入し、コミュニケーションコストを軽減するやり方は、すでに多くの企業が実施していますよね。
コストの削減だけでなく、生成AIによってオペレーターの業務負担を軽減しつつ、顧客はスムーズに対処法を知ることができるため顧客満足度の向上が期待できます。
また、文書の生成やフィードバックによる業務改良、ナレッジ共有など社内コミュニケーションの高速化といったことまで、あらゆる分野で役立ちそうですね!
生成AIにできないこと
生成AIは、あくまでも「ディープラーニングによる機械学習を重ねることで、オリジナルのコンテンツを生成できるようになったAI」であり、人間のように思考してコンテンツを生成しているわけではありません。
つまり、「学習したデータに基づいた特徴を持つコンテンツ」を作ることは得意ですが、人間の感情を読み取って一人ひとりに合わせたオリジナルコンテンツを提供することは不可能です。
「人間の感情に寄り添った、人間と同様の思考ができるAI」を「AGI(汎用性人工知能)」と呼びますが、現在のところまだAGIは実現には至っていません。
しかし、AI技術の発展は目覚ましく、ものすごい早さで日々進歩し続けています。
2023年2月24日には、「ChatGPT」の生みの親であるOpenAIのサム・アルトマンCEOにより、AGIの社会への影響を懸念してロードマップが公開されました。
予想よりもずっと早く、AGIとの共存が想定される世の中になる可能性が高いということなのではと思います。
生成AIの課題
ChatGPTをはじめとした生成AIの大規模言語モデル(LLM)では、現時点で主に以下3つの課題が懸念されています。
- モデルに依存する出力精度
- ハルシネーションのリスク
- 敵対的プロンプトへの対策が不十分
ハルシネーションとは元々「幻覚」という意味で、まるでAIが幻覚(=ハルシネーション)を見ているかのようにもっともらしい嘘(事実とは異なる内容)を出力するため、このように呼ばれています。
ハルシネーションは学習データの充実や経験値の向上により改善される可能性があるものの、最新モデルでも完全に防止することが難しい状況です。
また、プロンプトを使って言語モデルへ攻撃する「敵対的なプロンプト」を用いて悪用する人や組織も存在しており、社会情勢が混乱するリスクが懸念されています。
生成AIの発展スピードに対して、法律やインフラなどの社会基盤の整備が追いついておらず、法律で解決できないトラブルが多発する可能性もあります。(特に、海外では生成AIに関連するトラブルが続発しています)
生成AIの代表サービス一覧
生成AIを活用した代表的なサービス一覧にまとめました。
各サービス名をクリックすると、それぞれの解説記事が開きます。
| AIの種類 | サービス名 | 開発会社 | 
| マルチモーダル | ChatGPT | OpenAI | 
| Gemini | ||
| Claude | Anthropic | |
| Copilot | Microsoft | |
| 画像生成 | DALL-E 3 | OpenAI | 
| Midjourney | デビット・ホルツ氏の研究チーム | |
| Stable Diffusion | Stability AI | |
| Adobe Firefly | Adobe | |
| Canva | Canva Pty Ltd | |
| 動画生成 | Runway | Runway | 
| Sora | OpenAI | |
| Veo2 | ||
| KLING | 快手 | |
| 音楽生成 | Suno AI | Suno, Inc. | 
| 音声生成 | AudioPaLM | 
生成AIのビジネス活用事例10選
生成AIの活用事例は多岐に渡りますが、今回はビジネスにおける活用事例を10個ご紹介します。
- ブログ記事の作成
- SNS投稿の文案作成
- ビジネスメールの作成
- プレゼン資料の構成案作成
- 議事録作成(文字起こし)
- プログラミングコードの作成
- 顧客のニーズ分析
- 文章の要約
- 翻訳業務の効率化
- サイトや動画のデザイン素材作成
それぞれ実際に生成AIを使ってみた結果も載せていますので、ぜひ参考にしてくださいね!
ブログ記事の作成
生成AIを使えば、ブログのタイトルから構成案、本文の作成、校正まで全ての作業を効率化できます。
▽「ChatGPTの活用方法」についてのブログ記事の構成案を作ってもらいました。

そのまま使えそうなくらいの完成度では⁈
ここからさらに本文を作成してもらって、最適なタイトルを提案してもらえばブログ記事の完成です。
SNS投稿の文案作成
個人だけでなく企業においても、SNSの活用は欠かせないものとなってきましたよね。
SNSの運用にも、生成AIが活用できます!
投稿文やハッシュタグの提案を全て行う生成AIを使えば、面倒なSNSの運用も効率化できますよ。
▽AI生成結果のサンプルがこちら。

季節のトレンドやキャンペーンに応じた内容もスムーズに作成可能です。
ビジネスメールの作成
生成AIは、ビジネスメールなど定型文の自動生成や返信文の作成にも活用できます。
▽取引先に送る請求書メールを作成してもらいました。
各ビジネスメールをテンプレート化しておけば、顧客対応や問い合わせ対応が迅速かつ効率的になりますね。
プレゼン資料の構成案作成
生成AIにプレゼンの目的やターゲットを入力して、スライドの構成案や具体的なコンテンツ案を作成できます。
▽新入社員向け「ChatGPTの社に活用」のプレゼン資料構成案を作成してもらいました。

資料作成の時間を大幅に削減できそうです!
議事録作成(文字起こし)
生成AIを活用すれば、会議の音声をリアルタイムで文字起こしすることが可能です。
議事録の作成時間を短縮し、人間よりもはるかに正確な記録を残すことができます。
特に多国籍企業にとっては、複数言語への対応も魅力ではないでしょうか。
プログラミングコードの作成
生成AIなら、プログラミングコードも瞬時に生成できますよ。
▽生成AIの情報を発信するためのサイトのコードを生成してもらいました。
「生成AI情報を発信するサイトのホームページ」といった抽象的なプロンプトにしましたが、しっかりとプログラミングコードを生成してくれています。
さらに、編集機能のcanvasが実装されたことで、自動的にバグを修正したりや他のプログラミング言語に変換したりすることができるようになりました!
SEの方にとってはかなり強力なパートナーになりそうです。
顧客のニーズ分析
生成AIは、大量のデータを瞬時に処理し、業界の最新動向や消費者の嗜好を分析することも得意分野です。
これを活用して、業界のトレンド調査を効率化できます。
たとえば、SNSやニュース記事を解析して、新興の市場ニーズや注目される技術を特定する使い方や、顧客のアンケート結果やレビューを生成AIに分析させ、共通の傾向や潜在的なニーズを抽出するといった使い方もできます。
マーケティング戦略や商品開発に反映することで、迅速に市場の変化に対応できるようになりますよ。
文章の要約
生成AIを使えば、長い文書や報告書、難しい内容の論文や研究レポートなどを瞬時に要約できます。
理解が難しい内容の場合に便利なのはもちろん、長文を読んでいる時間がない時などにも有効です。
ただし、要約の精度は使用するモデルの性能に依存するので、ChatGPTやGeminiなどの高度な大規模言語モデルを使用するのがおすすめです。
翻訳業務の効率化
多言語対応が必要な企業では、生成AIを使って文章やコンテンツを迅速かつ高精度に翻訳できます。
生成AIは専門用語を含む内容でも翻訳可能なので、様々な専門分野で役立ちます。
また、翻訳業務のサポートとしても有用ですよ!
サイトや動画のデザイン素材作成
生成AIを使って独自の画像や背景素材を生成することで、デザイン作業の効率化とコスト削減が実現できます。
▽化粧品会社のサイトに使う背景素材を作成してもらいました。
画像生成AIは無料で使えるものも多いので、ぜひ有効活用してくださいね!
企業の生成AI活用事例5選
実際に生成AIを活用している企業の事例をご紹介します。
業務活用を考えている方は、ぜひ参考にしてください!
Turing|自動運転EVのデザイン
AI技術を⽤いた完全自動運転の実現を目指すスタートアップ「チューリング(Turing)」は、自社開発のAI自動運転システムを搭載した「THE FIRST TURING CAR」をリリースしました。
レクサスRX450hをベースとし、独自のAI自動運転システムとオリジナルエンブレムを搭載した完全自動運転EVのコンセプトカーです。
デザインを生成する際に、画像生成AI「Stable Diffusion」を活用しました。
デザインの方向性を共同制作企業と協議し、複数のキーワードを抽出した後でプロンプトに起こし、Stable Diffusionで大量の画像を生成しています。
静的なイメージにとどまらず、フルカラー3Dプリントでのスケールモデルや走行アニメーションやARデータまでを製作した事例としては世界初と言われています。
なお、自社工場となる「Turing Kashiwa Nova Factory」のネーミングにはChatGPTを活用するなど、積極的に生成AIを取り入れている点も特徴です。
参考記事:自動運転EV開発のチューリング、「THE FIRST TURING CAR」の納車式を実施
パナソニックHD|AIアシスタントサービス
パナソニックホールディングスでは、AIアシスタントサービス「ConnectGPT」をベースにした「PX-GPT」をグループ全社員向けに展開しました。
「ConnectGPT」は、グループ会社のパナソニックコネクト株式会社が活用しているサービスで、全社版として提供する際に「PX-GPT」として再調整されています。
法人向けAIエンジンをベースとし、高いセキュリティを備えている点が特徴です。
社内における生成AI活用により、業務効率化や負担軽減といった効果が期待できます。
グループの他の会社からもAIアシスタントサービスの活用可能性や適用の要望が上がっており、今後さらに波及させるべく検討しているとのこと。
参考記事:AIアシスタントサービス「PX-GPT」をパナソニックグループ全社員へ拡大 国内約9万人が本格利用開始
アサヒビール|新商品PR
アサヒビールは、新商品「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」の販売に合わせて、画像生成AIのStable Diffusionを搭載したサービス「Create Your DRY CRYSTAL ART」を公開しました。
自分の画像とテキストをブランドサイト上にアップロードすると、商品を楽しんでいる独自のアートが自動で生成されます。
場所や気分に加えて、「水彩画風」「アニメ風」といったスタイルが指定でき、アップロード画像を自動加工してアート化してくれます。
アルコール商品のため、利用するためには満20歳以上という条件があるものの、年齢をクリアしていれば誰でも作成可能です。
体験型プロモーションにStable Diffusionを活用する事例としては、日本初となる画期的な取り組みとして注目を集めました。
参考記事:画像生成AI「Stable Diffusion」を日本で初めて体験型プロモーションに活用 「Create Your DRY CRYSTAL ART」
オルツ|新感覚ゲーム開発

株式会社オルツは、自社で開発・提供する大規模言語モデル「LHTM-2」を使用して、AI脱出ゲーム「きまぐれな部屋」を生成しました。
「きまぐれな部屋」は、密室に閉じ込められたキャラクター「アイ」とチャットでコミュニケーションを取って親密度を高め、脱出を手助けするゲームです。
このゲーム内のチャットにはAI技術が使われています。
オルツのWebサイト「altBRAIN」から実際にプレイできるので、興味のある方は一度プレイしてみてくださいね。
参考記事:オルツのノーコードBRAIN生成プラットフォーム「altBRAIN」で、AIが生成した脱出ゲーム制作に成功
ビズリーチ|職務履歴書作成

転職プラットフォームの株式会社ビズリーチは、2023年7月6日、転職に必要な「職務経歴書」を生成AIで作成できる「GPTモデルのレジュメ自動作成機能」を発表しました。
この機能を活用することで、希望する職種やポジション、業務領域などを選択・記述するだけで、すぐに職務経歴書を完成させられます。
転職活動では、転職希望者のスキルや経験を言語化&文章化するのがハードルになって、転職が思うように進まないケースが多いと言われています。
この機能を使えば、たった4項目の入力のみで簡単に職務経歴書ができるのが特徴です。
実際にこの機能を使うことで、スカウト率が40%も向上したという結果も出ています。
参考記事:ビズリーチ「GPTモデルのレジュメ自動作成機能」を開発
生成AIの危険性と対処法
生成AIは、日常生活からビジネスまで幅広く活用できて非常に便利な反面、大きな危険性も潜んでいます。
ここでは、以下の3つの生成AIの危険性とその対処法についてご紹介します。
- 偏見や誤情報の拡散
- 情報漏洩のリスク
- 著作権侵害
偏見や誤情報の拡散
生成AIはインターネット上に存在する大量のデータを基に学習を行いますが、学習データには意図せず偏見や誤情報が含まれている場合があります。
そのため、生成されたコンテンツに偏見が反映されたり不正確な情報が広まる可能性があり、特にニュース記事やSNSの投稿においては、誤情報が瞬時に広がり社会に重大な影響を及ぼす可能性があります。
その情報が本当に正しいのか、ダブルチェックを行うなどして情報の信ぴょう性を確認することが重要です。
また、自分自身が誤情報を拡散してしまう可能性も捨てきれません。
ChatGPTの回答を即座に採用するのではなく、複数の情報源を参考にする・他の人間による確認を組み込んだシステムを構築する、などの対策を行いましょう。
専門的な情報を扱う場合は、専門家のチェックを導入するとより安心ですね。
情報漏洩のリスク
生成AIは、ユーザーデータを使用してコンテンツを生成するため、プライバシー侵害や情報漏洩のリスクが存在します。
生成AIは入力された情報をもとに学習するため、そのまま使用すると個人情報や機密情報であっても同様に学習されてしまうのです。
悪意ある第三者が生成AIを利用して個人情報を不正に取得する、あるいは不正アクセスを試みる可能性も考えられます。
可能性は低いものの、情報が不正利用されることも考えて、生成AIに個人情報や機密情報は絶対に入力しないよう注意してください。
ChatGPTを使う際は、設定画面から「Data controls」をタップして「Chat history & training」をオフにすることで、入力したデータの学習を停止させることができます。
他にも、OpenAIが提供している「オプトアウト」の制度を利用することで、AIが入力したデータを学習しないようにすることも可能です。
オプトアウトのリクエストは「User Content Opt Out Request」から送信できます。
著作権侵害
生成AIの回答には、個人情報保護や著作権に関連する情報が含まれる可能性もあります。
これらの情報を無意識に引用してしまうことで、法的な問題が発生する可能性もゼロではありません。
生成AIを利用する際は、法的な観点からも適切な引用と情報利用が行われるよう注意することが重要です。
現行の著作権法では、AIが生成したコンテンツの著作権保護や、AIの学習過程で使用されるデータの取り扱いについて明確な規定が存在しません。
総務省と経済産業省は2024年4月に「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を公表し、AIの開発・提供・利用に関する基本的な指針を示しましたが、まだ法整備は整っていないのが現状です。
ガイドラインを遵守することはもちろん、自身でできる予防策を行い、知らないうちに著作権を侵害してしまうような事態を回避できるようにしてください。
さいごに
画像や動画、音声、音楽、テキストなど多種多様なコンテンツを生成できる生成AIは、個人・企業問わずさまざまな分野で注目を集めており、今ではとても身近な存在です。
企業においては、自社の状況や目的に応じた生成AIの導入・運用が、企業やビジネスの鍵を握っていると言っても過言ではありません。
定型業務の効率化やクリエイティブな提案の補助、コンテンツ制作のゼロコスト化など、さまざまなメリットをもたらす可能性を秘めている一方、無視できない危険性や問題点も抱えています。
危険性と対処法を把握したうえで、うまく生成AIを活用していきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。





 
			 
			 
			 
			 
			